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第5期東京都生涯学習審議会「答申」 概要

子ども・若者の「次代を担う力」を育むための教育施策のあり方について

~「地域教育プラットフォーム」構想を推進するための教育行政の役割~

第1章 子ども・若者を取り巻く現状
現在進められている教育改革の主な焦点は「新しい社会を創造する人材の育成」にあり、教育界のみならず、経済界等からも大きな関心が寄せられている。
『東京都教育ビジョン』では、子どもや若者の現状を「規範意識、公共心、学ぶ意欲の低下や忍耐力の不足、また、大人になりたがらない子どもや将来の夢や希望を描けない子どもが増加し、社会参画も希薄になり、なかなか社会人として自立できない若者が多くなってきている」と指摘している。
第2章 子ども・若者の「次代を担う力」を育むための教育施策の基本枠組み
都教育委員会が行う教育施策の方向を「学校・家庭・地域が協働するしくみづくり」に設定し、家庭や地域の教育力の向上を主な役割とする社会教育行政は、子ども・若者を中心に、学校教育と軌を一にした形で展開されなければならない。具体的には、今後の社会教育施策は①「家庭教育支援施策」、②「学校教育支援施策」、③「学校外教育施策」の三方向から行われていく必要がある。
 
第3章 学校・家庭・地域の教育力の再構築を目指した教育施策のあり方
  (家庭教育支援施策)
家庭は、子どもが親や家族との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく場である。家庭教育には子どもが一人の人間として生きていくための基礎的な資質や能力を培う、いわば人間形成の基礎を作るという重要な役割がある。近年の子ども・若者の様々な問題行動の背景には、家庭教育のあり方が密接に関係しているという指摘がなされており、少子社会の下で、家庭の教育力を高めることが重要な課題となっている。
 

家庭教育支援施策の考え方
⇒すべての家庭が教育力を向上させる(「親が親としての力を身に付ける」こと)を目指し、教育行政が積極的に家庭教育支援施策を展開していく。
 
  (学校教育支援施策)
学校教育において外部の人材の効果的活用が十分に図られているとは必ずしも言い難い状況がある。その背景には、学校側(需要者)と地域側(供給者)との間で様々なミスマッチが生じていることがあり、このミスマッチを解消し、学校側が外部の人材を活用しやすい条件整備を図ることを通じ、学校教育の内容を豊かにすることを目指すというのが、学校教育支援施策の基本的なねらいとなる。

学校教育支援施策の考え方
⇒地域や地域を超えた外部(企業・大学・NPO等)の教育力を学校教育へスムーズに導入する。
 
  (学校外教育施策)
子どもたちの人間形成の過程において、地域における体験活動の持つ意味は非常に大きい。子どもたちは様々な社会体験等を通じ、他人に共感することや思いやりの心を自然と身に付けていくことができる。今、必要なことは社会教育が学校教育と「子ども・若者の育成観を共有」した上で、相互の特性を生かし、学校内外を通じ、子ども・若者の自発性を喚起していく教育活動や場づくりを展開していくことである。

学校外教育施策の考え方
⇒地域における子ども・若者に対する教育活動を学校教育との目的的・計画的な連携の下に展開していく。
 
  (地域〔エリア〕を舞台に学校・家庭・地域の教育力を再構築する)
「地域社会の教育力」を回復・再生すべきという指摘が多くなされてきているところであるが、今、求められているのは旧来あった地域の教育機能を取り戻すということではなく、子ども・若者の育成のために、地域(エリア)を舞台に学校・家庭・地域の教育力を「再構築」するという視点である。
地域(エリア)を舞台に「家庭教育支援施策」、「学校教育支援施策」、「学校外教育施策」の融合が図られ、それが学校教育施策と一体的に展開されていくことを通じて、学校・家庭・地域の協働のしくみづくりを進めていこうというのが今後の教育施策の基本的な考え方となる。(【図1】参照)
 
 
  (地域教育プラットフォーム~学校・家庭・地域の教育力を再構築するためのしくみ)
地域の教育力を総体として高めていくために、「地域教育プラットフォーム」という概念を提案したい。 (【図2】参照)
「地域教育プラットフォーム」の基本的ねらいは、一定の地域(エリア)という範囲の中で「子ども・若者」を中心に据え、教育施策の総合化・一体化を図ることにある。そこでは、学校教育・社会教育といった従来の行政の枠組みでは対応できなかった「谷間」の課題を、地域における関係機関や住民のネットワークを活用することで解決を図るという方向が見出される。いわば「『地域(エリア)』を舞台にした新しい教育システムづくり」を行おうとするものである。
 
 

※「地域教育プラットフォーム」とは、
   ①地域に蓄積された社会資源の有効活用を図るための情報基盤整備を行う。
   ②住民のネットワークから得た多様な情報や人材を結集して、地域課題の解決策を提案する。
   ③地域で展開される様々なプロジェクトをつなぐ役割を担うことで、複合的事業展開を可能にする。
  などの機能を持った地域における総合的な教育支援体制整備を目指した「中間支援のしくみ」のこと
 
「地域教育プラットフォーム」の主な役割は2点ある。第1点目は、地域社会のみならず、企業や大学・研究機関などをはじめとした地域を超えた外部の社会資源の持つ教育力を地域(エリア)内にある学校内外を通じた教育活動に導入することである。第2点目は、地域(エリア)内の学校・家庭・地域の協働を進めていくためのコーディネート活動を展開していくことである。
「地域教育プラットフォーム」は、区市町村教育委員会との緊密な連携の下で①NPO、②大学・研究機関、③PTAや青少年委員会等の地域組織、④地区ボランティアセンターなどが運営主体となって設置されることが望ましい。
「地域教育プラットフォーム」が行う具体的取組としては、
①地域や地域を超えた専門的教育力の学校教育への導入
②子ども・若者の個々の教育ニーズに対応した発展的な学習の機会の提供
③「地域スポーツクラブ」や「子どもの居場所づくり」など、学校外で取組んだ方がより効果的な各種体験活動の機会の提供   
④学校・専門機関等との連携による不登校、引きこもり等の子どもたちへの「こころ」のサポート   
⑤就学前教育への対応、家庭教育を支援する人材の養成
などが考えられる。
 
第4章 地域教育プラットフォームづくりを進めていくための教育行政のあり方
  (これからの教育行政の役割と地域教育総合計画づくりの必要性)
地方分権の進展に伴い、地方公共団体における責任と権限が拡大している。このような中で、教育委員会には、教育行政の責任ある担い手として、拡大した権限を生かし、主体的にその役割を発揮することが強く期待されている。特に区市町村教育委員会には地域の教育課題に迅速に対応していくためのグランドデザインとしての「地域教育総合計画」を描くことが求められている。
 
  (地域教育総合計画づくりを進めるための教育行政のあり方)
地域教育総合計画づくりが目指すものは、次代を担う子どもたちの育成を中核に据え、教育の総合力を高めることであり、学校教育と社会教育を相互に関連させながら施策の体系化を図ることにある。
(【図3】参照)
 
「学社融合領域」の施策を展開するため、教育委員会内部に教育施策の総合的企画・調整機能を有した部署を設置する必要性が生じてきた。その部署が各学校や地域住民、地域の社会資源のニーズを把握、分析した上で、学校教育・社会教育相互の有機的関連を示しながら、区市町村独自の総合的な地域の教育力を生かすための教育計画案を立案することが期待されている。
 
  (都教育委員会に求められる役割)
都教育委員会には広域的自治体として、先導的施策を実施することや都内全域の教育水準の維持向上という観点から区市町村教育委員会を支援していくことが期待される。
本答申の趣旨に則していえば、第3章で提案した「地域教育プラットフォーム」のしくみづくりを全都的に展開していくため、都教育委員会は、以下に挙げる取組を積極的に実施していく必要がある。
 

(1)企業や大学等の有する専門的教育力を積極的に活用するためのしくみづくり
 ★東京都「地域教育」推進ネットワーク協議会(仮称)の設置 (【図4】参照)
(2)「地域教育プラットフォーム」づくりに向けた支援及び助言
 ★区市町村教育委員会と連携・協力した「地域教育プラットフォーム」づくりモデル事業の実施
 ★都立学校の「地域教育プラットフォーム」への参加促進
(3)優秀なコーディネーターの確保、養成、スキルアップ
 ★「地域教育プラットフォーム」の中核となるコーディネーターの養成及びスキルアップなど
 
 
東京都「地域教育」推進ネットワーク協議会(仮称)は、企業・経済団体、大学・研究機関、NPOそして「地域教育プラットフォーム」関係者、区市町村教育委員会関係者、学校関係者の主体的参加により、「外部の社会資源と学校の協働」を進めていく上で生じる課題の解決を図ろうとするものである。例えば「奉仕体験活動」、「『キャリア教育』支援」、「地域におけるスポーツ活動支援」、「地域における文化活動支援」、「学校教育支援」、「家庭教育支援」などの課題を整理し、よりよい解決策を提示することが期待されている。
 
  (地域教育プラットフォームづくりに向けた支援及び助言)
都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、都内の幾つかの地域でモデル事業を展開し、その成果を踏まえ「『地域教育プラットフォーム』づくりへの指針」として取りまとめ、それを全都的に広げていくことや、指導主事と社会教育主事が連携し、区市町村教育委員会や地域内の学校、そして社会教育関係団体などへの適切な支援と助言を行っていくことが望まれる。
 
モデル事業を展開していく過程においては、「P(Plan)-D(Do)-C(Check)-A(Action)」のマネジメントサイクルの手法に基づいた進行管理を行い、事業の実効性を高めていくとともに、事業実施の透明性に配慮するなど都民への説明責任の視点を重視する必要がある。
 
  (都社会教育主事が果たすべき役割)
「地域教育プラットフォーム」の設置及び運営のための支援にかかわる行政側の推進者として、社会教育主事に求められてくるのは、学校教育支援施策の展開を通じて、学校や地域の人々に多様な「学び」のスタイルを示していくことである。そのためには、都の社会教育主事の資質・能力を向上させることが不可欠である。
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