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文化財めぐりコース

八重洲散策コース

5 日本銀行本店本館

国重要文化財(建造物) 1974年2月5日指定
写真

日本銀行本店本館

 日本銀行は明治15年(1882)に永代橋の(たもと)で開業しましたが、手狭であったことや都心部から離れていたことなどから、翌年には店舗の移転が決定し、明治29 年(1896)に江戸時代の金座があった現在の場所に日本銀行本店本館が竣工しました。

 設計者は近代建築の巨匠であり、東京駅赤煉瓦駅舎(とうきょうとあかれんがえきしゃ)の設計も手がけた辰野金吾。設計に当たり彼は欧米諸国の銀行を14 か月かけて視察し、当時最新であったベルギーの中央銀行を模範にしたといわれています。

 本館は地上3階、地下1階。中央のドーム、付け柱などネオバロック様式の特徴が随所に見られますが、加えて厳格な左右対称、壁面などの意匠にルネッサンス様式が採り入れられています。更に水洗便所やエレベーター、防火シャッターなど当時の日本では珍しかった最先端の設備も備えていました。当初は総石造りの計画でしたが、着工翌年に岐阜県南部を中心に発生した濃尾大地震を教訓に、外壁の内側に煉瓦(れんが)を積み上げ、外側に石を積み上げた石積み煉瓦(れんが)造りにすることで耐震性を向上させました。結果として大正12 年(1923)に起きた関東大震災では、建物自体はびくともしませんでした。関東大震災時に発生した火災では中央のドーム及び内装の過半が焼失してしまいましたが、昭和7年(1932)に手榴弾(しゅりゅうだん)が投げ込まれた五・一五事件、昭和20 年の東京大空襲などでも大きな被害はなく、ほぼオリジナルに近い姿を現在に残しています。

 なお、日本銀行本店本館を上空から見ると「円」の形に見えます。当時は旧字体の「圓」を用いていたため、偶然の一致ではないかと考えられます。