このページの本文へ移動

ホーム > 皇居散策コース > 江戸城本丸周辺

皇居散策コース

2 江戸城本丸周辺

⑤ 本丸

写真

手前の平面の地が本丸跡。右奥に見える富士見櫓はかつて、城内で一番富士山の眺望が良いといわれていました。
※重要文化財 旧江戸城写真帖「本丸重箱櫓、書院門渡跡、書院二重櫓図」東京国立博物館蔵

 現在、芝生が広がる本丸は、多くの隅櫓(すみやぐら)多聞櫓(たもんやぐら)が周囲を囲い、中心部は本丸御殿で占められていました。御殿など建物は、文久3年(1863)の火災で焼失し、再建されませんでした。明治4年(1871)の古写真には荒廃した本丸が写されています。

 御殿は南から表・奥(中奥ともいう。)・大奥の三区域から成り、その奥に天守が控えていました。表と奥には明確な境界はありませんが、奥と大奥は厳重に区画され、御鈴の廊下だけで(つな)がっていました。その広さは約3 万4540 坪に及びます。

 表は、大名などの会見の場や幕府の政庁で、御殿西側には南から、大広間、白書院、黒書院と並んでいました。これらの部屋は、様々な儀式や行事、対面の場に使われ、最も大きな大広間は将軍宣下などに使われる最も格式の高い御殿で、上段・中段・下段、入側から成り、対面する者の格によって将軍との距離と高さを違えていました。忠臣蔵の刃傷事件で有名な松の廊下は、大広間と白書院を結び、全長60mの長さは江戸城では二番目に長い廊下といわれています。

 奥は、将軍の生活の場(公邸)で、御座の間(将軍の執務や生活の中心となった部屋)や御休息の間(将軍が日常生活を行う場でもあり、政務の場でもあった部屋)のほか、台所や風呂など、生活に欠かせない部屋がありました。

 大奥は、御台所を中心とした奥女中生活の場(私邸)で、御広敷(御台所の居室)と長局(奥女中の住居)で構成され、表・中奥の御殿とは御鈴廊下だけで結ばれていました。14 代将軍家茂時代の記録では、400 人ほどの奥女中が居住していたといいます。ドラマでも取り上げられた江や春日の局、天障院篤姫などが居住しており、大奥を舞台にした漫画や映画も脚光を浴びました。

⑥ 天守台

 江戸城天守は、慶長11 年(1606)の家康、元和8 年(1622)の秀忠、寛永15 年(1638)の家光という将軍代替わりの際に築き直された将軍権力の象徴でした。

 慶長期の天守は、大天守を中心にその南東隅に続櫓(つづきやぐら)が延び、二重櫓(にじゅうやぐら)や数奇屋多聞を含めた天守曲輪ともいうべき構造を持った連立式天守でした。初代天守は、現在の富士見多聞櫓(ふじみたもんやぐら)付近と推定されます。

 寛永期の天守は、ほぼ現在地に建てられた黒漆塗りの五層構造の建物で、高さ64mに及ぶ建物でしたが、明暦の大火(1657)によって焼失しました。翌年、加賀藩前田家が高さ約12mの花崗岩(かこうがん)でできた天守台を築きますが、城下町再建を優先するために天守の建設は延期され、幕府重臣の保科正之の提言により断念されました。

 天守台の北には北詰橋門があり、この橋には北詰橋門が付いていました。北詰橋は、本陣防御のため、跳開橋となっていました。写真の北詰岩岐多聞にかかる斜めの樋は水道樋です。

写真

現在の天守台

写真

中央奥に見えるのが明治4年(1871)の天守台
※重要文化財 旧江戸城写真帖「天守台元奥手元蔵内面図」東京国立博物館蔵

写真

現在の北詰渡門

写真

明治期の北詰岩岐多聞(右)と北詰渡門(左)
※重要文化財 旧江戸城写真帖「本丸北詰渡門内水道図」東京国立博物館蔵

⑦ 白鳥濠の石垣と汐見坂

 江戸城本丸と二の丸の段差は、約10m以上に及び、その段差に堀を設けて本丸を守っており、梅林坂門と汐見坂門を設けていました。汐見坂では坂上から海を臨むことができたのでこの名が付けられたといわれます。

 元々本丸は堀が取り囲んでいましたが、本丸東側で現存しているのは白鳥濠のみで、一般公開されている範囲で家康時代の石垣が見られる唯一の場所です。この石垣は、乱積み・打ち込みハギという古い技法で造られ、石垣の角部は緩やかな勾配を持ち、古い形態の算木積みとなっています。

 汐見坂と梅林坂に挟まれた石垣は明暦の大火後に本丸拡張のために築かれたもので、本丸付近では比較的新しい石垣になります。この石垣は、表面が正方形の石材を規則正しく積んだ切り込みハギ、布積みという積み方です。ここは、石垣の積み方を見比べやすい場所ですので、是非比較してみてください。

写真

現在の汐見坂

写真

明治4 年(1871)の汐見坂
※重要文化財 旧江戸城写真帖「本丸塩見櫓跡図」東京国立博物館蔵

皇居東御苑の公開について

公開日 :
通年(ただし、下記に掲げる日は休園)
(1)月曜日・金曜日(月曜が祝日の場合は火曜が休園)
(2)天皇誕生日
(3)年末年始(12月28日~1月3日)
(4)行事の実施、その他やむを得ない理由のため支障のある日
公開時間 :
3月1日~4月14日・9月1日~10月末日 9:00~16:30(入園は16:00まで)
4月15日~8月末日・11月1日~2月末日 9:00~16:00(入園は15:30まで)
料金 :
無料

*皇居東御苑内の写真は、宮内庁の許可を得て撮影しています。